「初めて」の思い出には、誰もが執着してしまう。パチスロを打ち始めた時、ちょうど平和の「俺の名はルパン三世」が導入された頃で、そんな縁もあってルパンシリーズには思い入れがあるのです。
それゆえ、どうにかこうにか「面白いところ」を探そうと金も時間も投資してきましたが、流石にこの台だけは無理そうです。
ロングヒットしたパチンコをパチスロに完全移植が完全に失敗している
1/399と1/299で発売したパチンコ版の「消されたルパン」は、そりゃあ名作でした。最新のパチンコ版ルパン三世を蹴飛ばしてのロングランヒットもうなづけます。
通常時の期待感、演出の信頼度のバランス、確変中のイケイケ感、ミドルスペックでもしっかりとした出玉感。演出の作り込みも含めて素晴らしい出来だと思います。
パチスロのルパンシリーズといえば、前作の「ロイヤルロード」が大コケ。そんな中で、オリンピアとしては色々な思惑もあっての今回の「パチスロ ルパン三世~消されたルパン~」だったんだと思われますが…
小役の概念はパチスロにとって大切だった
本作はパチスロであることを完全に放棄しています。ロイヤルロードの筐体と同じ筐体を使用し、リールは右上についた小さなドラムのみ。それでも、ロイヤルロードや同じ筐体を使用した「ガールズアンドパンツァー」は、液晶に演出用のリールを付け「小役」という概念はありました。
本作には「小役」の概念がありません…。
液晶上には、パチンコと同じ数字が3つ並び、青同色並びなら弱チャンス目、赤同色並びなら中チャンス目、金7混じりなら強チャンス目、後はリプレイやベルは文字で表示されるのみ。
新作の発表があった時、この部分は自分にとってそれほど問題にならないだろうと思っていました。小役自体、あって無いようなものになりつつあるので「今更な」と思っていましたから。
しかし、「消されたルパン」を打ち込んでみると、液晶上だろうがなんだろうが、「チェリー」や「スイカ」、「ベル」、「リプレイ」と表示されることは、パチスロを打つ上で…つまり、レバオンする自分と台のインタラクション、台からのフィードバックとしてものすごく大事な要素だったことに気づきました。
決して当たりが軽い台ではないので、このインタラクションが欠如しているとわけがわからないまま台にメダルが吸い込まれていく感がものすごく強くなります。納得して投資できていない感が強まる印象でした。
レバーオンでの抽選の結果として、何が起きているのかが不明瞭というのは、私がパチスロを打つ上で非常に大切な何かの欠落として感じるようです。
保留システムのゲームデザインが統一感に乏しい
この何が起きているのか分からない感というのを更に強化するのが、パチンコ版を模した保留システムですな。レバオンである役を引き当てた時の前兆ゲーム数と期待度を保留で表しているんでしょうけれど、パチスロのゲーム性のデザインとして致命的に失敗しています。
それは、通常時は4つの保留が、CZ中は唐突に10個以上の保留表示に切り替わるということ。この統一感のなさが、パチンコを無理やりパチスロ版に落とし込んだ際の設計の手抜き感を感じさせます。
初当たりのハードルの高さ
通常時→ゲーム数や小役で移行するCZ or 通常時何らかの理由で貯まるポイントで移行するCZのCZ→疑似ボーナス→ループ型ART(疑似ボーナス中の抽選)
複数のゲーム数管理のCZにより、液晶画面が複雑に&期待できない煽りの多発
まずは、CZを目指さなくてはならない「消されたルパン」。CZは複数あり、期待度や突入度合いがそれぞれ異なります。通常は「WANTED TIME」という期待度が10%~20%くらいでしょうか?このCZを目指します。このCZは小役での直撃もありそうですが、主に当たりやすいゲーム数が何かによって管理されているようで、このCZのためのカウンターが画面左上に。
次に雷雲モードを目指すためのCZの抽選までを示唆するカウンターが右上に。戦国乙女3の天下ポイントのように毎ゲーム抽選されているらしいポイントを表示しているカウンターですが、100ポイント貯まると雷雲モードを抽選するCZへ移行します。どうやら、このCZは内部的に2~3種類あるようで、青紫の枠=期待度低、赤色の枠=期待度中って感じのよう。
雷雲モードは内部的にはARTのようで、この20G中に7揃があればそのまま通常のARTに当選するようです。
それぞれのCZ用カウンターはそれぞれのCZ当選、ボーナス当選によりリセットされます。そのため、どのカウンターがリセットされても、常にざわざわ画面上に煽りが出てしまう結果に。
余談
また、雷雲モードは内部的にはARTですが、7が揃わず終わった場合は天井999Gまでのカウントはリセットされないようです。天井までの目安は下パネルの液晶左上の数字が正しいようです。(天井は疑似ボーナスかARTに当選らしく、疑似ボーナスに振り分けられた場合は999Gで即発動します)
より上位(ボーナスに当たりやすい)のCZは、強チャンス目や中チャンス目などで移行するようです。この辺りは状態や設定によって当選率に差がありそう。しかし、あまり期待しないほうが良さそう。
WANTED TIME(CZ)の爽快感のなさとパチンコからの移植演出の手抜きが目立つ
チャンスゾーンというからには、当選した際にやってやった感が欲しいわけですよ。パチスロ打ちとしては。
しかし、パチンコの演出を完全移植したせいで、
期待度が高い保留=数ゲームにも渡る演出
となってしまっています。演出が始まるまでに10G以上前兆ゲームがあり、さらに10Gほど引っ張られるわけですよ。おまけに、CZゲーム数の減算はストップするので、この演出がハズレでも、さらに回し続けなくてはならない羽目になります。
パチンコ版といえば、赤保留→擬似2発展→メンバー3人集結(チャンスアップが皆無)→ハズレ
なんて演出がありましたが、これがパチスロ版にも完全移植。つまり、発展した瞬間に(あ、こりゃないな)とわかる演出、そしてハズレを1G60円かけて延々見せられるわけですな。
開発者は馬鹿なの?
WANTED TIME、期待度は設定によって恐らく異なるんでしょうけど、ホールに置いてあるのはほぼ低設定でしょ。パチンコなら1回転の抽選の結果を回さずに見られるから、熱そうな演出→ハズレでも笑って済まされますが、パチスロはそうじゃないでしょ。こんなゲームフローで誰が喜ぶの?おまけに、タイプライターも熱くないです(ステルスのやつなw)。
CZ突入までに煽られて、CZで期待感のない演出を散々魅せられて、当たる時も爽快感が足らない。そして、当たっても5割は70枚で終わる疑似ボーナス。初当たりも重い。
オリンピア、ちゃんとやれ。
パチスロであることを放棄してしまった「ルパン三世~消されたルパン」も悲しいけれど、全体的にものすごい手抜き感が目立つ台を、盛って盛って発表していることに、本当に悲しさを感じます。
面白さをARTのループ率に集約した結果
といっても、私ARTに入れてもなぜか単発で終わるんですけど…ちゃんと連チャンしている人はイケイケで連チャンしています。
このループ感を好む人はいるでしょう。
ただ、パチスロ機としては本当に失敗。というか、手抜き。ゲームバランスの調整を途中で放棄したとしか思えない出来です。
確かにパチンコ業界は斜陽で、新しい形を模索していかなくてはならない状況です。が、こんなやっつけ台を発表してしまうなら、業界にとってマイナスにしかならないのでは…とすら思います…。天井狙い以外のハイエナも美味しくないですしね…。納得出来ない投資を強いられるユーザーが多くなるということは、客離れも早くなるわけで。
「消されたルパン」被害を最小限に抑える狙いどころとは
ずばり、999Gの天井狙いと赤枠雷雲モードポイント狙いです。
999G天井を狙う
下の液晶左上に表示されるゲーム数が999になったら天井発動です。疑似ボーナスかARTのどちらに振り分けられるのかは謎ですが、1000円でものすごいムラはありますが平均すると40Gくらい回ります。
過度な期待は禁物ですが、平均して300枚~500枚くらいは期待できるんじゃないかな…。ARTに入れられればですが。700G前後で落ちている台があれば、打ってみるのは良いかもしれません。
まあ、ざっくりですが。
赤枠雷雲モードポイント狙い
青(紫)枠は、ほぼ期待できないのでポイントがたまってても無視でいいですが、赤枠はいまのところ、周囲と自分を見渡してもまあまあ雷雲モードへと繋がるようなので狙ってみてもいいかもです。雷雲モードからはART直撃するらしいので…。
ポイントは平均して200Gで溜まるというウワサ。っつーても、CZへのCZなので積極的に狙ってプラスになるかといえば、だいぶ微妙です。60ptくらいで落ちていたら、まあ、打つ理由にはなるかも。
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